スケルチとは
ラジオにはなくて受信機にはある機能の一つとしてスケルチがあります。スケルチは信号がない場合にノイズをカットする機能です。ラジオでも、何も入感しない周波数では「ザー」などの雑音が入りますよね。スケルチはこの雑音が聞こえないようにして、信号が入ったときだけ音がでるようにします。
ダイヤル式のものだと、反時計回りに回しきった状態が「スケルチ開放」といい、スケルチが効かずにノイズが出ているはずです。そこから時計方向に回していくとノイズが消えるポイントがあると思います。ノイズが消えた状態を「スケルチが閉じた」といいます。信号が入ると、音が出ます。この状態は「スケルチが開いた」といいます。
普段の設定は、そこからさらに少し時計方向に回したあたりにするのがちょうどよいでしょう。時計方向に回しすぎると、ノイズが出にくくなりますが、弱い信号が検出できない場合があります。
最近の機種では数字でスケルチを調節するものも多くあります。この場合は「0」がスケルチ開放の状態で、数字を少しずつ上げてスケルチが効くポイントを探します。
多くの機種には「モニター」「スケルチ」というボタンが設けられており、一時的にスケルチを開放したい場合はこのボタンを押すとスケルチを開放できます。
トーンスケルチやユーザーコード
受信機にはトーンスケルチ(TSQ・CTCSSなどとも呼ばれる)やDCS(デジタルコードスケルチ)、ユーザーコード(UC)などスケルチの発展系のような機能があります。トーンスケルチとDCSはアナログ無線で、ユーザーコードはデジタルで使われます。
名前や仕組みは違いますが、どれもやっていることは同じで、特定の相手方からの通信だけ音が出るようにする機能です。業務無線は1つの局に1つの周波数が割り当てられているわけではなく、簡易無線のように周波数を共有することが多くあります。そのため、何もしない状態であれば自分たちと関係のない通信まで聞こえてくるので不便です。
そこでトーンスケルチなどを使うと、同じトーン(DCSやユーザーコードは同じコード)にしなければスケルチが開きません。そのため、1つの周波数を複数のグループで共有していても、自分たちが専有しているような感覚で使えます。ただし、専有しているような気がするだけで、実際は同時に使用すると混信するなどの弊害はあります。
トーンスケルチなどは無線受信に非常に便利
トーンスケルチなどは無線受信をするうえで非常に便利です。特に簡易無線などでは、コールサインを使わない局も多く、さらに周波数も自由に変更できるため、使用者の特定が困難です。しかし、トーンスケルチなどは滅多に変更されることがないため、周波数が変更されてもトーンスケルチなどによって特定しやすくなります。
トーンスケルチやDCSはUnidenの受信機やアルインコのDJ-X100などではほぼリアルタイムにわかります。ユーザーコードについても多くの機種でリアルタイムに判明します。
ボイススケルチ(VSC)
AOR機やIC-R30などにボイススケルチ(VSC)と呼ばれる機能があります。これは人間の声以外を無音化してくれる(人間の声以外でスケルチが開かなくなる)機能で、常送波なのにトーンスケルチなどがかかっていない452.05MHz(山陽新幹線)などを聞くときに重宝します。
ただし、機種によってボイススケルチの性能は大きく差があるようです。例えば452.05MHzの場合、IC-R30やAR-DV1のボイススケルチだと機能せずスケルチが開きます。私の環境では、AR-5000のみ良好に動作します。
452.05MHzには無力なIC-R30のボイススケルチですが、IC-R30のボイススケルチは少々のノイズでも無音化してくれるため非常に重宝します。特に、ローVHFなどノイズが多い周波数帯をスキャンする際などで有効です。
ボイススケルチのデメリットとして、音声が流れていても逃してしまう可能性があります。また、音声が途切れてしまうことも。私の場合、ノイズが多い周波数はVSCを設定しておき、通話を確認した時点でVSCを切るようにしています。