VFO・メモリーとは
受信機にはVFOとメモリーというものがあります。VFOは周波数をグリグリ変更できるモード、メモリーとは特定の周波数を記憶させておくものです。カーラジオなどでも、通常は周波数をダイヤルなどで変更して合わせますが、よく聞くラジオ局はメモリーに登録できる機能も備えられていますよね。
カーラジオのメモリーは数チャンネル程度しかありませんが、受信機の場合は数百チャンネルから数千チャンネル用意されています。なかにはUniden機のようにチャンネル数に制限がないものも。
なぜこのように多くのメモリーがあるのかというと、業務無線はラジオ放送のようにしゃべりっぱなしではないからです。必要最小限の通話しか行なわないため、1つの周波数だけを聞くよりも、たくさんのチャンネルを次々に切り替えて、通話があるチャンネルを見つけ出すことが求められます。
メモリーバンク
受信機のメモリーは数が多いため、多くの機種ではバンクという概念が使われています。これは、メモリーをいくつかのグループに分けるものです。例えば、広島空港・岩国基地・福岡空港で使われている周波数をごちゃまぜにしておくよりも、空港ごとのバンクにまとめておくと、メモリー内容の管理がやりやすくなります。
スキャンとは
数百チャンネル以上のメモリーを短時間で切り替えて、通話の有無を確認するのがスキャンです。チャンネル数が多ければ多いほどスキャンが一巡するのに時間が必要になるため、スキャン速度は速ければ速いほど有利です。
しかし、スキャンが速くても、通話があるチャンネルできっちり止まらなければ意味がありません。スキャン速度はカタログに記載されていることも多いですが、しっかりと止まるかどうかは使ってみないとわからないため、実際に使用した人のレポートなどを参考にするとよいでしょう。
スキャンとサーチの違い
スキャンと似た用語に「サーチ」があります。両者の違いは、スキャンがメモリーを高速で切り替えるのに対して、サーチはVFOを高速で切り替える点です。
VFOも、例えばVHFのエアバンドである118~142MHzを手動で切り替えていくのは無理なので、サーチにより自動的に切り替えていきます。
サーチはメーカーによって「プログラムスキャン」と呼ばれることもありますが、内容は同じです。
スキャンとサーチの使い分け
スキャンとサーチはどのように使い分ければよいのだ?と思う人もいるのではないでしょうか。基本的にサーチはスキャンよりも速いため、サーチが使えるのならサーチを使ったほうがよいです。
例えばVHFエアバンド(118~142MHz)で考えてみると、118.0、118.025、118.05……とメモリーすることも可能ですが、チャンネル数は96chも必要ですし、メモリーの手間もかかります。一方で、サーチは下限周波数118、上限周波数142、ステップは25kHzと設定するだけなので、圧倒的に楽で速いですよね。
そのため、周波数がある程度連続していればサーチを使ったほうがよいでしょう。ただし、350MHzのデジタル簡易無線などチャンネル数が35ch程度の場合は、どちらにするかは微妙で状況次第です。サーチだけしか使わないときはサーチでよいですし、サーチに組み込めない周波数も合わせて確認したい場合はスキャンを選ぶしかありません。ちなみに、私は350MHzのデジタル簡易無線は基本的にスキャンしています。
バンクリンクを上手に使おう
スキャンはチャンネル数が多ければ多いほど一巡に時間がかかります。そのため、必要に応じてスキャンするチャンネル数を減らすことも大切です。
そこで登場するのがバンクリンクという仕組みで、先ほど紹介したメモリーバンクをつないでスキャンします。例えば、広島空港・岩国基地・福岡空港という3つバンクがある場合、広島で受信する際には福岡空港のバンクは不要ですよね。その場合、バンクリンクができれば広島空港と岩国基地のバンクのみをスキャンできます。また、福岡へ行くときは広島空港や岩国基地をバンクリンクから外せば、余計なメモリーをスキャンせずにすみます。
メモリーしたチャンネルをなんでもかんでもスキャンしていると、肝心な通話を逃してしまうことも多いため、バンクリンクなどの活用によってスキャンするチャンネルを最小限にすることはとても重要です。
なお、バンクリンクができる機種は、スキャンだけでなくサーチでもバンクリンクが使えることがほとんどです。