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BCD436HPレビュー

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Unidenという会社があります。元々日本の会社で日本では電話機とかを売っていますが、北米では受信機(スキャナー)も売っています。日本では受信機は売ってません。

そんなUnidenが販売しているBCD436HPは、一部のデジタル無線も受信できたり、アナログについても国産機にはないよさがたくさんあります。特によいところは

です。これからそれらを紹介していきます。

目次

メリット

TemporaryAvoidがすごい!

BCD436HPでもっとも優れた機能のうちの一つです。ノイズが出たりしている局をスキャン対象から外すための機能で、普通の国産受信機にも「パス/スキップ(以下スキップといいます)」などという名前であるのですが、BCD436HPのそれは一味違います。

BCD436HPではTemporaryAvoidとPermanentAvoidの2種類があります。国産受信機でいうところのスキップはPermanentAvoidにあたります。
一方のTemporaryAvoidは電源を切るまでの一時的な間のみスキップできます。

国産受信機のスキップ機能だと、1回スキップにしたらずっとスキップされたままですから、スキップにしたことを忘れて、本来受信されるべき周波数が受信できないことがあります。
その点、BCD436HPのTemporaryAvoidだと、電源を切ったらスキップしたものがリセットされて、元のスキップされていない状態に戻るため、そのへんを気にしないですみます。

国産受信機でBCD436HP並みの機能があるのはIC-R30やDJ-X100のみです。IC-R30の一時スキップ機能は電源を切ったときだけではなく、一定時間経過したら解除とかもできるので、移動中などの場合はIC-R30のほうが優れているといえます。
一方でBCD436HPのTemporaryAvoid機能は250件登録できるのに対して、IC-R30は25件しか登録できないので、ここはBCD436HPのほうが優れていて、一長一短といった感じです。

IC-R30の一時スキップ機能詳細はこちら

Closecallもすごい!

直近の強力な電波をつかまえて受信する機能です。これも国産受信機で似たような機能があるものはあるのですが、ここまで実用性のあるものはありません。

自宅の固定アンテナで使うと直上上空を飛行中の航空機からの電波がよく引っかかります。
直上とはいってもこのあたりだと3000mから10000mの高さを飛んでることが多いので、感度はよいといえます。
そんな感じなので、目で見える範囲で無線を使っている場合、ほぼ反応してくれます。
特にイベント会場などで未知の周波数を調べる時には絶大な威力を発揮します。

DJ-X100にも似たような機能がありますが、あまりパッとしない感じです。

独特のメモリバンク

BCD436HPのメモリは国産受信機でいうメモリとは概念が違います。1バンク○○チャンネルとかではなく、バンクにチャンネル制限はありません。実質無制限です。

BCD436HPでSystem等が表示されている様子

BCD436HPのメモリは「System-Department-Channel-実際のチャンネル」という階層構造になっています。

この「System」「Department」「Channel」それぞれにQuickKeyという番号を割り当てることができて、例えば

SystemDepartmentChannel
内容広島VHF簡易無線154.45
QuickKey000101
内容広島UHF簡易無線465.0500
QuickKey000201

と番号を割り当てた場合、スキャン中に00を押せば「広島」以下すべて、つまり上の例だとVHF簡易無線とUHF簡易無線すべてがスキャン対象になります。

00.01を押すと「広島-VHF簡易無線」以下がスキャン対象になります。

このようによく使うチャンネルはQuickKeyに割り当てておけば、すぐに割り当てたり外したりできるというものです。国産受信機でいうところのバンクリンクがすばやくできると思ってもらえばいいかと。

ただ、これらをすべて把握しきれなくなるのが難点です。
一応最初に0を押した時点で1ケタ目が0番台のSystem(00から09まで)が現在スキャン対象になっているかどうか表示されるのですが、肝心のその数字は一体どういうSystemなのかがわからない。

BCD436HPで0を押したときの様子
数字が表示されているのがスキャン対象、*がスキャンから外れていることを示します。

このボタンを押す過程でSystemなどの名前が表示されるといいんですが。ていうか私が見つけられていないだけかもしれません。もし知っている人がいたら教えてください。

仕方がないので私は一覧表をExcelで作ってGoogleDriveにアップして、分からなくなったらそれを見るようにしています。

スキャンの回り方も独特

またスキャンの回り方が独特で、 1つのSystem内のDepartmentをすべて回ってから次のSystemにいくのかと思いきやそうではなくて、あるSystemのDepartmentを1つだけスキャンすると、そのSystemの次のDepartmentではなくて、次のSystemに飛びます。
それぞれのSystemのDepartmentを一つずつ回って元のSystemに戻ると、ようやく次のDepartmentをまた回るという感じだと思います。
なので ダイヤルをグリグリ回して目的のチャンネルに持っていくのが至難の業です。

図にするとこんな感じです。
左から右にスキャンが流れていくイメージです。

System00010200010200
Department00000001010103

トーンスケルチ、DCSを一発判別

トーンスケルチやDCSを使っていた場合、ほぼ一瞬で判別できます。

国内でこれができるのってKENWOODの無線機やDJ-X100しかできません。
その他のメーカーはトーンスケルチサーチとか別モードに入らなくてはならず、しかもそれがクソ遅いので使いものになりません。

チャンネルごとにボリュームが微調整できる

これもいい機能ですよ。無線局によって変調の浅い深いがあると思いますが、BCD436HPのVolumeOffsetを使えば少々は吸収できます。

デジタルでこの機能を享受したいと思っていたところ、DJ-X100がやってくれました。個別の調整はできないものの、デジタルの音量差を解消できる機能を備えています。

ディレイタイムも微調整できる

国産受信機だとディレイタイムって全チャンネル一律じゃないですか。BCD436HPだとこれも各チャンネル毎に変えられます。

AlertLight

これを設定しておけば受信した時に指定したパターンで光ります。

色は"Blue,Red,Magenta,Green,Cyan,Yellow"で、点灯パターンが"On(点灯しっぱなし)、FastBlink(速く点滅),SlowBlink(ゆっくり点滅)"の中から選べます。

赤で早く点滅とかはかなり目立つので、聞き逃したくないチャンネルに設定していくと便利です。

優秀な録音機能~録音した状況をそのまま再現できる

BCD436HPで録音データを再生したところ

優秀です。受信したときの画面をそのまま再生できます。

左画像が再生画面ですが、このように受信したそのまんまが表示されます。
残念なのは、受信した時間をそのまま表示できないということと、Sメーター(アンテナマーク)が表示されないことです。

常時録音されている

BCD436HPの録音機能は少し変わっていて、保存するために録音しようという場合は手動で録音をセットしないといけないのですが、そうでないときも短い間(設定で調整できますが概ね数分間)は常に録音しています。設定した単位の時間内でずっと上書き録音している感じ。

これが地味に便利で、ちょっと聞き逃したときに助かるのです。コールサインとか。
常に録音してればいい話かもしれませんが、ずっと録音しているとそれを整理するのが大変なので、私は面白そうなものが流れているときや出先でしか手動録音はしません。
そういうズボラな人にとって、この機能はとても便利です。

ただし、常時録音で録音されている時間は短く、データとしても書き出しできないため、保存用に録音する場合はマニュアルで録音開始する必要があります。
このマニュアル録音がわかりにくいのがデメリットです。(詳しくは後述)

スキャンが速い

IC-R30と比べると見劣りがしますが、普通にスキャンが速いので便利です。速さは正義。

APCO-25がトランキングモードで受信できる

アメリカで一般的なデジタルモードAPCO-25が受信できます。
P25自体はAR-DV1とかでも受信できるんですけど、トランキングモードで受信しようと思ったらAR-DV1じゃ無理です。

ただ、P25を使っていてかつ受信できるのは在日米軍くらいしかないのが悩みどころ。日本の官公庁でも使われてはいるんですが、暗号化されているので復調できません。

LTRが受信できる

日本ではアナログ地域振興無線で使われているLTRをトランキングで受信できます。詳しくはこちらの記事からどうぞ。

メモリネームの制限がゆるい

BCD436HPでSystem等が表示されている様子

メモリネームも文字制限もゆるいのであまり気にせず設定できます。当然日本語は無理ですけど。

System、Department、Channelそれぞれに名前をつけられていいのですが、受信機の表示がなぜか上から

Department,System,Channel

となっていて若干分かりにくいのが玉にきず。

デメリット

VFOがない

国産受信機では当たり前のVFOモードがありません。BCD436HPやアメリカの受信機というのは、とにかく周波数をメモリしてそれをスキャンするというのが本来の使い方みたいです。
VFO的なことをするときには、こちらの記事のような感じで操作する必要があります。慣れないとわかりにくいです。

スキャンの強制開始を設定できない

IC-R30など国産受信機の多くは、スキャンが止まった場合に通話が終わっていなくても、一定秒数が経過するとスキャンを強制再開するように設定できますが、BCD436HPにはそれがありません。
そんな機能いるのかと思われるかもしれませんし、自分も今まではそう思っていました。

しかし外出時にバッグの中などへ受信機を放り込んで外出時は録音のみ、という使い方をしているとこの機能が意外と便利です。
この機能がないとノイズや無駄話などでスキャンが止まるとそれらが消えない限りスキャンが再開しないという恐ろしいことになってしまいます。
スキャンが止まっていないかこまめにチェックすればいいのでしょうが、面倒ですしつい忘れてしまうのです。

よく分からない機能がけっこうある

未だに分からない機能があります。マニュアル読んでもサラッとしか書いてないことも多く、余計にわけがわからんです。
P25やLTRの受信法も、今やっているやり方が本当の正解なのかどうかよくわかりません。

一応マニュアルを地味に和訳しているので、よかったらこちらからどうぞ。

録音状態が分かりにくい

IC-R30と比べて最近思い始めたのですが、録音しているかどうかが分かりにくいです。
というのも、BCD436HPは録音待機中の場合に何も表示がないんですね。

録音中は右下にちっちゃく「REC」の文字は出ますが、これも分かりにくい。
録音しているだろうと思っていて録音されていなかったことがしょっちゅうあります。
この点IC-R30は録音待機中も表示が出るのでわかりやすいです。

これと関連するのですが、電源を切ると録音モードも解除されるのが地味に痛いです。
TemporaryAvoidしたものを解除するために電源を入切することがありますが、このとき再度録音モードにしてやらないといけません。
このときの録音再スタートを一番忘れてしまう・・・

使いながら充電ができない

単三電池が使えるので致命的ではないのですが、地味にけっこう不便です。充電するには電源を切らなくてはならないという。

日本的な機能には一切対応していない

空線信号キャンセラとか音声反転秘話とかには一切対応していません。
秘話関係についてはアメリカは厳しいみたいで、デジタルについては秘話がかかっているとケロケロ音さえ出ず何もないかのごとくスルーされます。

逆トーンを動作させたときが今ひとつ(18/11/24追記)

トーンスケルチやDCSを瞬時に表示できる機能は先に述べたとおりなのですが、普通の動作以外に反転動作も可能です。
トーンスケルチやDCSが合致したときはスキャンが止まらないという動作。

今ではほとんど使っているところはなくなりましたが、常時キャリアが出ている業務局(東京の空港リムジンバスなど)を聞くときにはこの機能は必須です。

この機能ってもう一つ使い道があって、簡易無線など一つの周波数を複数で共用するタイプの場合、特定の無線局だけスキップすることができます。
延々と無駄話をする局とか、通話が多すぎるなどでもう聞きたくない局とかがあれば、そのトーンスケルチやDCSを逆動作でメモリーすれば、それだけスルーできるという素晴らしい仕様。

ただ、ここでBCD436HPが残念なのは、その動作をさせると、他のものを受信したときに、それのトーンスケルチやDCSが表示されません。
この逆動作をさせつつ、新たに受信したもののトーンスケルチやDCSも表示してくれるとさらによいのですが・・・

その他

使ったことはないけど良さそうな機能

Location

オプションのGPSアンテナをつなぐと、指定した位置からの半径または四角形の指定範囲内でスキャンするか否かを自動的に判別する仕組みがあるみたいです。
よく移動する人だと、これを使えばよその地方に行ってもメモリバンクを変更せず自動的に近い局だけスキャンしてくれるということです。

Tone-Out

トーンの組み合わせが合致した時だけスケルチが開いてアラームが鳴るようにできる機能です。
アナログ消防無線とかでよくあった注意喚起音などに応用できたみたいです。

しかし残念ながらその機能に気づく前に消防無線がデジタル化したのでこの機能は使ったことがありません。
使いこなしてたら便利だったろうなあと思いますが、消防なき今、注意喚起音流す無線局が見当たらない…

使えそうで使えない、使いこなせていない機能

DMR、NXDN

アップグレードしたら受信できるようにはなります。
が、今のところこのモードで受信できるのは一般業務のDMRとごくごく一部のNXDNです。

まとめ

このようにBCD436HPはクセは強いんですが、一回使ったら手放せない機能がいくつかあります。国内ではあまり人気がありませんが、もっと評価されるべき受信機です。
BCD436HPのよいところと国産受信機のよいところが合わさったら最強なんですけどね。