IC-R30レビュー
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IC-R30レビュー

IC-R30は、デジタルレシーバーとしては、デジタル簡易無線と報道あたりが聞ける程度なのですが、2波同時受信ができたり、スキャンが激早だったり、録音がそこそこ優秀だったり、Bluetooth接続できるなど、細かな配慮が行き届いており、非常に使いやすいです。AR-DV1やAR-DV10とはいろんな意味で対照的です。

そういった良いところ悪いところをレビューしていきます。

いいところ

デジタル簡易無線など一部のデジタル無線を受信できる

一部のデジタル無線が受信できます。

が受信可能です。

ただし報道連絡波と本四高速は秘話がかかっているので、秘話コードを入力しないとだめです。AR-DV1やAR-DV10のような秘話コード解析機能はありません。
ですから、IC-R30しか持っていない場合、誰かに秘話コードを教えてもらわないかぎり、報道連絡波や本四高速の受信は難しいです。

また、AR-DV1やAR-DV10で受信できている

は受信できません。AR-DV1などでも復調できない警察や消防、JRなど多くのデジタル無線はIC-R30でも受信できません。

デジタル簡易無線のユーザーコード(UC)をメモリ登録して選択受信ができる

かなり大事な機能です。AR-DV1やAR-DV10はこれができません。

デジ簡は意外と混んでいます。そこまで混んでいないエリアでも、1CHとか特定の周波数にかたまりがちです。

受信したい局がいるチャンネルに限って、「せーの」とか「スラー」とかフリラーが長々としゃべりだしてスキャンが止まるのには困りものです。
しかし、IC-R30はメモリにUCが登録でき、余計な通話は無視できるのでとても快適。

それに関連して、UCで逆トーンスケルチ的な機能がすごく欲しいです。つまりUCが一致する場合のみスルーしてくれるという。
この機能があれば、聞きたくない局だけ排除することができて、すごくいいと思うんですけどね。

AR-DV1で受信できない一部のDCR局を受信できる

AR-DV1だと「秘話+個別呼出」設定になっているものは、コードを一致させてもまともな音声として受信できません。
しかしIC-R30だとこれが難なく受信できます。
意外とこの設定は多いので、これがきちんと受信できるというのはかなり有利な点です。

スキャンが爆速

スキャンがメチャクチャ速いです。BCD436HPも速い方ですが、それよりも速いです。
大量にメモリしていてもそんなに困りません。

一時スキップ機能がいい!

BCD436HPに搭載されていて地味ながら絶大な威力を発する機能がなんとIC-R30にも!

スキャンが止まってしまう原因のノイズは、場所や時間などによる一時的なものが多いです。
また、「スラー」とかもスキップしたくなります。

スキップ自体はどの受信機でもできるのですが、困るのはスキップしたことを忘れる、その後ずっとスキャンに引っかからなくなることです。
しかし、一時スキップなら一定時間後や電源を再投入したときに復帰してくれるので、そういう心配がありません。

BCD436HPの一時スキップはこちらを参照

BCD436HPの一時スキップ解除は電源を入れ直したときのみですが、IC-R30は「一定時間経過」「スキャンをやめるまで」「電源を入れ直すまで」とバリエーションがあってよいです。
一方で、BCD436HPの一時スキップ件数は250件ですが、IC-R30は20件です。
困ることはあまりないのですが。

メモリバンクが柔軟

メモリバンクの構成が柔軟で最大100バンクグループ、1グループに最大100チャンネル入ります。

この「最大」というところがミソで、1バンクグループに1チャンネルだけでもいいし、20チャンネルでも80チャンネルでもよく、最大で100チャンネルまで自由に設定できます。
最大100チャンネルはちょっと少ないかなと最初は思ったんですが、グループを細かく組めば十分です。

バンクリンクも設定画面からバンク名を見ながらオンオフできるのでわかりやすい。
BCD436HPでメモリが増えると、一覧を作らないとスキャングループの変更が難しいですが、IC-R30はそんなもの必要ありません。
ただもうちょっとメモリ数があってもいいかもと思います。たまに足りなくなります。(私だけか?)

2波同時受信

2波同時受信できるので、爆速受信機が2台あるのと同じことになります。
ただ惜しむらくはデジタルが2波同時に受信できないことです。これができるとさらに強力なのですが。
また2波同時に動かしているとどうしてもノイズ等でスキャンが止まりやすくなるデメリットもあります。

IC-R30のA/Bバンド簡易比較はこちら

DUPスキャンが意外と便利

基地局と移動局が別の周波数で通話する複信形式の場合、メモリーチャンネルにシフトを登録することができます。
これは多くの受信機でできることなのですが、IC-R30がすごいのは、シフト先の周波数もチェックしてくれることです。
IC-R30以外の受信機では、手動で切り替えるしかありません。自動でやってくれるってすごいことです。
今までシフト周波数をメモリに登録していても、めったにその機能を使うことはなかったのですが、これなら私みたいなズボラ者でも使えます。

実際使ってみたところ、スキャン中にシフト先の周波数も確かにチェックしています。
また、スキャンが止まって再開するまでの間もピコピコとシフト元とシフト先の周波数を行ったり来たりしてチェックしており、見ていて楽しいです。
デジタル報道連絡波やドクターヘリ、一部の国際VHFなんかを聞くのにすごく重宝します。

GPSロガーが意外と便利

買った当初はGPSロガーなんかいらんだろって思っていましたが、使ってみると意外と便利。

特に移動しながら録音をしたとき、後で聞き返すと、どこでなにを受信したのかがわからなくなることがあります。しかしGPSと照らし合わせるとどこで受信したのかが一目瞭然です。
特にデジ簡や特小など、それほど飛ばない無線局を特定する際には、どこで受信できたのかがより細かくわかった方がよいですものね。

ログデータはGoogleEarthへインポートするのが一番手軽でしょう。

またBCD436HPのように、GPSに基づいてスキャンする機能もあるのですが、スキャンできるのが最大50件なので、あまり使いどころが見つかりません。
航空祭とかよその空港へ行ったときなどに使えるのかも...

スタンド充電器

オプションじゃなくて最初からスタンド充電器があるのはいいですね。
また、スタンドを使わなくてもUSB接続で充電できるのがいいです。

例えばデジ簡機のIC-DPR30は、USBケーブルだけでは充電ができず、必ずスタンドが必要なので、外出時に持っていこうとすると、スタンドがかさばって邪魔になっていました。この点IC-R30はサイコーです。

鉄道無線用のキャンセラーがある

JRのA/Bタイプ無線や関東私鉄は空線信号が出ているため、空線信号をミュートするキャンセラーがないとストレスなく受信できないです。
私が常用しているもう1つの愛機、BCD436HPはアメリカ製なのでもちろんそんな機能はありません。しかし、IC-R30はJRも関東私鉄も両方対応できます。

A/Bタイプの列車無線も東海地方くらいでしか使われなくなりましたが、それらの地域に行くときには大いに助かります。

逆にIC-R30は音声反転秘話の解読機能がありませんが、AR-DV1にはあります。
これもたまに使っている人がいるので、できたら欲しい機能の一つです。

イヤホンやスマホとBluetooth接続できる

本体と線で結ばなくてもよいというのはなかなか快適です。

ちょっとイマイチなのはICOMヘッドセットしかカスタマイズキーを設定できないことでしたが、スマホアプリRS-R30Aからリモコン操作ができるので、なんとかなります。

スマホアプリRS-R30Aについてはこちら

よくないところ、改善して欲しいところ

音質に若干問題

デジタル簡易無線を聞いていると、しゃべっている人の声の大きさによって、音量が著しく変わってきます。
小さい声の人にボリュームを合わせていると、突然出現する大声で話すおっさんにやられます。
この点、AORのものは音量差がまだマシな感じがします。

また、AMのノイズが高めの音で、長時間聞いているとつらいです。

デジタル受信時にスキャンがいつの間にか止まる

デジタルを受信していて秘話コードが合わないものを受信しているとき、スキャンが止まります。コードが合っていないのですから音声は出ません。
つまりスキャンが止まっていることに気付きません。

ラジオライフ2018年8月号によれば、秘話コードを設定しないチャンネルについても秘話コードを何かしら設定しておけばスキャンが止まった際にケロケロ音がするそうです。秘話がかかっていないものは普通に音声が出ます。
コロンブスの卵的な発想で、読むまでまったく思いつきませんでした。ですから、メモリーするときは秘話をなしにするのではなく、とりあえず「1」にでもしておいた方がよいです。

録音機能の使い勝手があまりよくない

録音機能はBCD436HPと比べると、若干劣ります。
BCD436HPを使うと、受信した時の画面、ほぼそのまんまが再現されますが、IC-R30の場合、時間と周波数しか出てこないのです。UCやメモリー名が出ない。
SuperTagEditorなどを使うことで、UCなどは表示されますが、すぐに見返したいときに若干不便です。

SuperTagEditorの使い方はこちら

トーンスケルチ・DCSがすぐにわからない

BCD436HPのように受信しただけではトーンスケルチやDCSがわかりません。いまだにトーンスキャンが必要です。
これができるようになればBCD436HPがほぼ不要になって、アナログ機としても最強になるので是非搭載して欲しいです。

デジタルオートモードがない

AR-DV1で当たり前のように使っていたデジタルオートモードがありません。
デジタルオートモードがあれば、海自の450MHz連絡波のようにアナログとP25とT98が混在しているところでも、オートにしておけば自動判別してくれて便利なのですが、IC-R30の場合はアナログとP25とT98の3パターンでメモリ登録しないといけないです。
スキャンが爆速なので十分カバーできる範囲ではあるのですが、少々面倒ですね。

メモリー編集ソフトが高い

高いです。高いのはまだ許せるとしても、いまだにパッケージ販売なのはどうかと思います。
せめてダウンロード販売にしてほしいです。

秘話解読できない

これについてはICOMさんには永遠に無理なんでしょうね・・・

その他

バッテリーの持ちについて

バックライト点灯状態でデュアルバンドで両バンドスキャンを走らせた状態でカタログ値どおりの8時間30分もちました。

受信改造

IC-R30は受信改造をしないと一部の周波数(コードレスホンの周波数帯など)が受信できない、いわゆる歯抜けの状態になっています。
コードレスホンだけなら別によいのですがUHFエアバンドやJRのCタイプなどにも影響してくるので改造しておいたほうがよいです。自信がない場合は改造済のものを買いましょう。

改造方法はこちらのサイトなどがわかりやすいかと思います。私も自分で改造しましたが、写真を撮り忘れていました…ちなみにかなり細かくて作業しづらいです。

改造後はMAIN+BANDキーを押しながら電源オンです。
アップデート後にも再度この操作が必要なことがあります。

まとめ

悪いところもけっこう挙げましたが、IC-R30はとても優秀な受信機です。
この受信機はアナログハンディレシーバー+デジ簡受信機(+民放連絡波等受信機)としてとらえるのがよいかと。
デジタルレシーバーのみとして考えたらAORの方に軍配が上がりますね。
ただし、アナログも含めた受信機として考えるとIC-R30の方が優秀です。

今のところ私は、まず秘話解読をAR-DV1でやって、判明したものはIC-R30にメモリして受信するってやり方で使っています。
ちょうどお互いがお互いの欠点を補い合っているので、AR-DV1もしくはAR-DV10と、IC-R30の2台があると最強ですよ。